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家づくりの女性プロフェッショナルたちの“お仕事”拝見! 女性専門家インタビュー

インタビュー第1回目は、ご主人とともに村上建築設計室を主宰されている村上有紀さん。ご自身も2人のお子さんのママで、お施主様の子育てママからは同じママ同士としても厚い信頼を集めています。穏やかな口調の中にも、「設計者として、家を建てる前の暮らしの整理と、建てた後の暮らしづくりも見守り続けたい」との信念をもっている村上さんに聞きました。

Interview vol.1 村上有紀さん

そもそも村上さんは、なぜこの仕事をめざされたのですか?

建築系の専門学校を卒業した後は母校の教員をしていました。学生たちに設計を教えるのも楽しかったのですが、実際に建築現場で形にする仕事もしたいと思い、独立した主人を手伝う形で設計実務に関わるようになりました。

この仕事のどんなところが魅力だと思いますか?

そうですね。私はきっと相手の話をヒアリングして引き出し、形にしていく過程がとても好きなのだと思います。家づくりは人と人とのコミュニケーションでもありますから、それがとても楽しいんです。

建築学校の教員時代にも学生たちに、難しい世界をかみ砕きながら「どんな設計をしたいと思ってるの?」と引き出していくのがとても楽しかった記憶があります。

実は今の家づくりの仕事もその延長線上にあって、日々、お施主様にいろいろなヒアリングをしています。1日のスケジュールやライフスタイル、趣味や子育て、家事や介護のことなどなど…。一見、雑談のようにもみえますが、実はこの過程がとても大切。この過程によって、お施主様もだんだん私たち設計者に心を開いて話をしだしてくれますし、私たちはお施主様の深いところにある要望を引き出していけますから。

お施主様の言葉の奥にあるご要望を探りながら、「こうかな?ああかな?」と想像しながらプランやイメージスケッチ、ストーリーをご提案していきます。もちろん1回で済むことはなく、その後も何度もヒアリングしながらプランやスケッチも修正していきますから大変といえば大変です。でも、そういう過程でだんだん固めていって、「そうそう!そうなんです」とお施主様が最後に共感してくださった時なんかは、とっても嬉しいですね。喜びの分かち合いというのでしょうか。

この点、やはり奥様との対話が多いですから、子育てや家事の体験を生かして、より深く共感しあえるという意味では、女性ならではの仕事の魅力かもしれませんね。

そのヒアリングで村上さんが
心がけていることは?

「どんな部屋が必要ですか?」よりも「どんな暮らしがしたいですか?」とお聞きするようにしています。住宅の平面図にはLDKとか部屋名が記入されますが、それはあくまで便宜上のこと。大切なのは「その部屋でどんな暮らしをしたいのか」です。

たとえば
「ゴロゴロしながら昼寝ができるリビング」
「秘密基地のようなワクワクする子ども部屋」
「衣替えをしなくていいクローゼット」
…というように。

この枕詞のような前半の言葉が、100人100様の、唯一無二の住まいの形となるのです。またお施主様が「この部屋で何がしたい」という具体的なイメージをもって伝えてくださると(私たちは「要望の彩」と呼んでいます)、私たち設計者も頭の中でどんどんイメージがわいてきて、モチベーションもグッとあがります(笑)

お施主様から受け取った要望から、暮らしのイメージをスケッチしていきます

『お施主様は生活のプロ。こちらも学ぶことが多いから楽しいんです』と村上さん

設計事例の1つ。無垢材のキッチンを中心に家族が集まる、子育て世代の住宅です

村上さんのところでは「家のことセラピー」サービスがあると聞きましたが?

家づくりとなると、どうしても「新しい暮らし」にばかり目が行きがちですが、本当は新しい暮らしの前に「今の暮らし」のいいところ・わるいところに目を向けることが大切なんです。ですから私たち設計事務所では、設計段階からお施主様と一緒に「家のこと」を以下のように考えていきます。

  • ① 設計の前に「暮らし設計」をお施主様と一緒に考えます。
  • ② お施主様が自ら設計した自分たちの暮らしの形に合わせて、具体的な間取りや設備、インテリアを決めていきますが、予算や法令・構造などの制約と照らし合わせプロとしてアドバイスしながら、納得解を見出すお手伝いをします。
  • ③ 住まいの完成後も、暮らしは家族の成長とともに変わります。また暮らしながら気づくことや、設計当初のイメージと実生活の使い勝手が違うと感じることもあるでしょう。住まいに完成形はありません。今ある状況からどうすれば改善できるかをお施主様と一緒に対話しながら考えていくお付き合いをめざしています。

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家づくり会社で建てるメリットはどこにあると思いますか?

家づくりは双方向コミュニケーションです。お施主様も自分たちの暮らしをすべて伝えるわけですから、家をつくる営業さんや大工さん一人ひとりの暮らしぶりだって知りたい。それを相互にわかり合えてこそ、心を開いてくれるのではないでしょうか。その意味で、地域に根差した住宅会社は工務店であれ、設備会社であれ、作り手や会社・社長の顔が見えやすく、安心につながるのではと思います。

ありがとうございます。では最後に、これから家づくりする人への応援メッセージをお願いします。

家を建てる経験は多くても一生のうちで2・3回でしょう。ですからお施主様には、住まいへの思いを家づくり会社に全部ぶつけていただきたいと思っています。「なんか合わない」「要望を伝えづらい」などの我慢はしないでください。もちろん時には矛盾も出てくるかもしれません。しかし、この矛盾を丁寧にひも解いて整理していけば、よりよい家の形に変えていくチャンスにもなります。

あなたと、あなたの大切な家族が幸せになるための住まいづくりなのですから。

2011年11月

村上有紀さんプロフィール

京都女子大学文学部教育学科卒業後、建築の世界をめざすため中央工学校女子建築設計科卒業。母校にて建築学科専任講師を経て、ご主人とともに村上建築設計室を設立。二級建築士、一級福祉住環境コーディネーター、こども環境学会会員、一級家事セラピスト。

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